日産自動車、純利益93%削減! 2024年9月中間決算で浮き彫りになる本格的な経営課題

NISSAN

日産自動車が発表した最新の決算報告は、業績急減という深刻な事態を浮き彫りにしています。日産は困難な課題に直面しています。

現在、日産は日本の自動車市場で8%、アメリカで1.7%の販売減少

米国と中国での販売売不振、さらには大幅な円高が経営に大きな影響を与えており、日産は今後の巻き返しを覚悟して、新たな経営と構造改革に取り組む必要があるでしょう。

課題の背景やその影響を、重要な視点から詳細に解説します。

日産自動車・株価(2024年11月7日終値):410円 PER:-倍 PDR:0.25倍

引用元:株探(週足チャート2022年-2024年11月)
目次

日産自動車 2024年9月中間決算と経営課題

今期の業績不振の理由

日産自動車の今期の業績不振は、複数の要因が絡み合っていることが明らかになっています。

まず、生産能力の削減が挙げられます。日産は世界の生産能力を20%削減し、9000人の人員削減を発表しました。

これは、競争が激化する中での生産過剰を是正するための措置であり、特に米国や中国市場での販売奨励金の増加と現地企業との競争が厳しくなっていることが影響しています。

次に、販売台数の見通しの下方修正があります。

日産は今期の世界販売台数見通しを従来から25万台引き下げて340万台とし、営業利益計画も5000億円から1500億円に下方修正しました。この結果、業績予想は市場予想を大幅に下回ることとなりました。

さらに、北米市場での競争力低下も重要な要因です。

引用元:日産自動車

特にハイブリッド車(HV)の販売が影響しており、他社と比較して※販売奨励金が高騰しています。日産は米国市場での在庫が膨らみ、販売コストが急増した結果、営業利益が前年同期比で99%減少しました。

※販売奨励金
自社商品やサービスの販売促進のため、販売代理店や顧客に支払うインセンティブのこと。

また、経営戦略の見直しも求められています。

内田社長は、中期計画で掲げた販売台数増と営業利益率について見直す必要があると述べており、これまでの拡大志向から持続可能な収益性を重視する方向へシフトする意向を示しています。

これらの要因が相まって、日産自動車は今期において厳しい業績状況に直面しています。特に米中市場での競争激化や自社製品の魅力低下が顕著であり、今後の回復には時間がかかる可能性があります。

純利益93%減、潜む深刻な問題

日産自動車は、2024年9月中間決算で純利益が前年同期比93.5%減の192億円となったことを発表しました。

この業績悪化の主な要因は、北米や中国市場での販売台数の減少です。具体的には、営業利益も90.2%減の329億円に落ち込み、売上高は1.3%減の5兆9842億円となりました。

業績低迷の背景

引用元:日産自動車

日産の業績低迷は、いくつかの要因に起因しています。

まず、米国市場ではハイブリッド車(HV)の投入が遅れたことが大きな問題です。特に、競争が激化する中で、HV市場への対応が不十分だったため、販売台数が減少しました。

また、中国市場では電気自動車(EV)への需要シフトに適切に対応できなかったことも影響しています。

経営戦略の見直し

日産は、業績不振を受けて世界で9000人の人員削減を行うとともに、生産能力を20%削減する方針を示しました。

これにより、世界の生産能力は400万台程度に引き下げられる見込みです。また、日産は保有する三菱自動車の株式も一部売却する計画です。

内田誠社長は、「痛恨の極み」と述べ、今後の経営体制を見直す必要性を強調しました。具体的には、2026年度までに年間350万台の販売でも安定した収益を得られる体質を目指すとしています。

深刻な問題

日産自動車は現在、いくつかの深刻な問題に直面しています。米国市場では、日産はトヨタやホンダと比較してブランド力が弱く、強力な商品ラインアップに出遅れています。

このため、値引き販売から脱却できず、競争力が低下しています。

長期的な影響

日産の今回の決定は短期的なコスト削減だけでなく、長期的な競争力にも影響を及ぼす可能性があります。

人員削減や生産能力の縮小は、一時的には財務状況を改善するかもしれませんが、ブランドイメージや顧客信頼にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

また、新たな技術への投資や市場ニーズへの迅速な対応が求められる中で、これらの改革が成功するかどうかは不透明です。

日産自動車は現在、厳しい状況に直面しており、その根本的な問題は市場環境への適応力不足といえます。今後の動向に注目が集まります。

原価の高騰と売上総利益の低下

2024年4月から6月の売上総利益は43億円に滞り、予定の4977億に大幅に減少しました。

この一因は、原価率の上昇です。今後の原価率は82%だたのに対し、今年は86%に増加しており、これは売上を上げるために大幅な値下げを行っていることを示唆しています。

日産は安売りによって売上を維持しているもの、その分利が大幅に削減されているのです。

増加する広告費と販売経費

広告宣伝費:3,217億5,800万円に達する見込み

日産は、販売不振を解消しようと広告費や販売促進費を大幅に増加させました。

しかし、売上の増加に対する効果は限定的で、結果として利益を圧迫する原因となっています。

日産自動車の年間広告宣伝費は、近年増加傾向にあります。2023年3月期の広告宣伝費は2,835億円で、前年から14.52%増加しました。

2024年3月期にはさらに増加し、3,217億5,800万円に達する見込みです。この増加は、日産が市場での競争力を維持し、ブランド認知度を高めるための戦略的な投資を反映しています。

引用元:日産自動車

特に、新モデルの投入や市場シェア拡大を目指す上で、広告宣伝費の増加は重要な役割を果たしています。

日産自動車は、グローバル市場での競争に対応するため、地域ごとに異なる広告戦略を展開しており、特に北米や欧州市場では、消費者の嗜好や市場動向に基づいたターゲット広告が重要視されています。

新車投入による巻き返しは実現するのか?

日産は今後、エルグランドやキックスといった新型車を投入し、性能改善を進めており、電気自動車(EV)市場での競争力も現状伸び悩んでいるから、競合とのアライアンスによる支援を受けている状況です。

まとめ:日産の未来と求められる変革

現在、日産は日本の自動車市場で8%、アメリカで1.7%の販売減少に悩んでいます。今後、日産が目指す5,000億円の利益目標が達成できるのか。

次回の決算での発表が待たれます。

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